「磁性アタッチメントとMRI」
歯科用磁性アタッチメント装着時のMRI安全基準マニュアル(2022年度版)
監修:日本磁気歯科学会 安全基準検討委員会
はじめに
MRI検査は、近年の目覚しい技術進歩によって、装置の高磁場化・高出力化による画質の向上や検査時間の短縮が可能となったことから、歯科領域において脳ドッグを含め急激に需要が高まっています。それに伴い、体内金属装着者における人体への為害作用が問題視されるようになってきました。
歯科治療では、特に高齢者に磁石(磁性アタッチメント)を用いて義歯を維持安定させる処置が普及しています。また、高齢者は、様々な全身疾患を有している可能性が高く、さらに口腔領域はMRI検査頻度が非常に高い脳頭蓋と近接しているため、磁性アタッチメント(特に口腔内に装着するステンレス製キーパー)のMR装置に対する安全性について、情報提供が必要です。
日本磁気歯科学会では現状のMRI検査現場での混乱や情報の不統一に対応するため、国際規格(ASTM規格)に準じ口腔内に使用する磁性アタッチメントのMRI検査における安全性について、偏向力試験および発熱試験を行い、MR装置の磁場に対する安全性を検討しました。また、生体安全性とは直接関連しませんが、口腔内に設置されたキーパーによる金属アーチファクトの発生がMRIの診断に及ぼす影響についても検討を加えました。これらの結果の一部を本学会第20回学術大会(2010年11月)において発表致しました。
ここに、現時点での日本磁気歯科学会としてのMRI撮像に対する安全基準をまとめ、歯科医療従事者および診療放射線技師を対象にマニュアル化することに致しました。なお、本マニュアルを作成するにあたり、安全性試験を行いましたので、その結果を参考資料として巻末に掲載しました。
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