ご挨拶
日本磁気歯科学会
理事長 武部 純
本学会は、昭和55年(1980年)に、歯科用の小型で強力な磁石、磁性合金の開発、応用の研究を主旨に、DMA(Dental Magnetic Appliance)研究会として発足しました。同年より第1回DMA研究会が開催され、計21回の研究会を経て平成3年(1991年)に日本磁気歯科学会が設立されました。その間、会員を含む諸機関、企業等の産学連携による開発が進められ、学会設立の翌年平成4年(1992年)に磁石の歯科臨床応用の第一歩として、有床義歯の支台(維持)装置となる磁性アタッチメントが市販されました。
以降30年の歴史を有する本学会は、平成21年(2009年)に日本歯科医学会の認定分科会に登録され、平成28年(2016年)には一般社団法人日本歯科医学会連合の準会員に承認され、現在に至っています。
令和3年(2021年)9月に磁性アタッチメントは区分C2(新機能・新技術)として保険収載が開始され、日常臨床の有床義歯治療の選択肢として身近なツールとなりました。したがって、本学会は磁気や磁界を歯科応用する特殊性を伴う専門学会として、歯科医療に果たす役割は大きいと考えられます。
本学会は、歯科医療の発展向上と国民の健康維持・増進への貢献を目指し、磁性アタッチメントに加え、電磁気学による磁気応用デバイスの開発と、その安全性の評価等の幅広い「磁気歯科医療」に取り組み、以下の事業を継続して参りました。
- 学術大会(年1回の全国大会および国際磁気歯科インターネット会議)の開催
- 学会雑誌の発行(年2号)
- 磁性アタッチメントの国際標準規格の策定(ISO 13017:2020発行)
- 磁性アタッチメント装着者を対象としたMRI安全基準マニュアル(2022年度版)および患者説明用リーフレットの作成とその周知活動(日本歯科医学会ホームページ:歯科診療に関する基本的な考え方(令和4年)・日本磁気歯科学会からの参考資料として掲載)
- 磁性アタッチメントの診療ガイドライン策定、更新
- 認定医・認定歯科技工士の認定、更新
- 表彰制度規程の整備と表彰事業の実施
- 磁性アタッチメント適用症例の長期経過観察による臨床評価システムの構築
- 磁性アタッチメントを支台装置とする有床義歯の診療に対する基本的な考え方の策定(日本歯科医学会ホームページ:歯科診療に関する基本的な考え方(令和3年版、令和4年12月更新))
- 磁性アタッチメント解説動画の制作
(臨床術式・技工術式、キーパー付き根面版の形成と印象・清掃と管理)
今後は、これらの事業を継続して展開するとともに、さらなる「磁気歯科医療」の発展向上に向け、各都道府県歯科医師会との地域医療支援・学術的連携、本学会ホームページと学会誌を活用した磁性アタッチメントに関する学術的情報発信の充実、賛助会員との連携、磁性アタッチメントの多施設連携による臨床評価の実践等の事業を、会員の皆様のご意見をいただき、情報の共有を図りながら展開していきたいと考えております。
磁性アタッチメントのさらなる普及に向けて、会員増強による組織の体制強化を図りながら、本学会から国内外へと推進、展開していく所存です。そのためには役員や各委員会委員の先生方をはじめ、会員の諸先生方のご理解とご協力が不可欠です。今後とも、本学会発展のために一層のご指導ご鞭撻を賜りますとともに、ご支援いただきますよう心からお願い申し上げます。
令和7年(2025)年 1月1日
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