第30回日本磁気歯科学会学術大会

特別講演

佐川眞人先生写真

11月7日(土)14:20~15:20

講師:佐川眞人先生(大同特殊鋼株式会社 技術顧問)
演題:「ネオジム磁石は社会を支える」

私は大学院修了後、富士通研究所に採用してもらい、磁性材料の応用に関するテーマをもらった。ここで10年間、磁性材料について勉強し研究をさせてもらった。そしていくつかの成果を上げることができた。その終わり頃、ネオジム磁石のアイデアをもったが、会社としてもう磁石の研究はやらないと言われた。どこの会社に行くか迷った末、私は住友特殊金属(住特金)に行くことにした。ここで、私のアイデアがたちまち形になり、世界最強のネオジム磁石が誕生した(1982年7月)。ところが、上司から「君の磁石はおもちゃにしか使えない。50℃で磁力が低下する。」と言われた。この時愕然としたが、10人の住特金研究チームで問題を解決した。ディスプロシウム添加の方法である。そして、ネオジム磁石の工業化を進めた。住特金は1987年からネオジム磁石の量産を開始した。

ネオジム磁石の最初の応用はハードディスク装置(HDD)である。HDDが今のように小型にできたのはネオジム磁石のおかげである。ネオジム磁石の前の最強磁石はサマリウム・コバルト磁石である。この磁石は極端にもろくて、割れると磁粉をまき散らすので、HDDには使えない。ネオジム磁石がなかったら今のIT社会は10年以上遅れていた。ネオジム磁石はエアコンに使われて、エアコンの効率を上げ、人々の快適な生活に貢献している。ネオジム磁石はEV、HEVに使われて、地球温暖化防止に貢献している。

ネオジム磁石が歯科磁性アタッチメントに使われて役立っていることは喜ばしい。ネオジム磁石が誕生した時、「君の磁石はおもちゃにしか使えない」と言われて愕然としたが、「歯科アタッチメントには使えます」と言い返せばよかった。ネオジム磁石が歯科アタッチメントに使えるのは、磁力が最高であることと、その機械的強度が高いことが重要である。さびやすいという欠点は、しっかりとしたコーティングによって克服できる。

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